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Channel: 東京昆虫記
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バチ抜け

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毎年、二月中旬になると東京湾奥に春を告げるバチ抜けシーズンの到来となる。潮位変動の大きい潮周りと暖かい日が重なった木曜日、日没後の満潮時刻を迎えたタイミングで京浜運河へと車を走らせた。先ずは毎年撮影しているゴロタ場のポイントに入るもバチの遊泳は少なく、しばらく様子を伺っていたものの一向に数が増えないため見切りをつけて場所を移動。次に訪れたのは砂泥底にゴロタ石が混在するポイント。水面にライトを照らしてバチの有無を確認すると今度は大量の群遊を発見。すぐさま撮影に取り掛かった。

ヤマトカワゴカイ

D700+Sigma 15mm F2.8 EX DG Diagonal Fisheye+内蔵フラッシュ+SB-600+SB-700(コマンダーモードにてワイヤレス増灯撮影)

体長10cmほどのゴカイの大群がニョロニョロと水面直下を泳いでいる何とも奇妙な光景だ。

シーバスフィッシングをこよなく愛する者にとってこのバチ抜けは爆釣することができる時期。バチ抜けを察知したフッコやスズキは東京湾奥にある各運河内を回遊してバチを捕食する。その習性を狙った釣り方、バチ抜けパターンを攻略し、爆釣しようとこの京浜運河にも数多くのシーバスアングラーが夜な夜な足を運び賑わいを見せる。この日も少し離れた場所でフライフィッシングをされていた方がセイゴからフッコクラスを連発して釣り上げていた。


“バチ”とは海釣りのエサとして使用されているゴカイやイソメのこと。“バチ抜け” とはゴカイやイソメなどの多毛類が海底、川底の巣穴から抜け出して水面直下を浮遊しながら放卵放精を行う生殖群遊のこと。東京湾奥に位置する江戸川から多摩川辺りまでの汽水域では、新月や満月の潮位変動が大きい潮周りである大潮や大潮後の中潮で、日没後の満潮時から下げ潮が効き始めた数時間のみ、生殖群遊が見られる。時期は2月から6月、場所によっては7月頃まで見られ、最盛期は2月から4月頃まで。

十数年に一度、隅田川河口から羽田沖、アクアラインまでの海面を覆いつくすほど大規模なバチ抜けが起こると言う。いつかそんな光景を撮影したい。


協力者:Yoshi

撮影日:2月28日

撮影地:品川区京浜運河

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