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Channel: 東京昆虫記
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新たな発見と可能性

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土曜日の最終目的はヤゴ採り。Sにもお手伝いいただきオオアオイトトンボの終齢幼虫を撮影用に捕獲。あっという間に夕方近くになっていたので、そろそろ終了と思っていた時。ふと、眼を向けた矢先に黒と黄色のヤンマが見えた!

ネアカヨシヤンマ 雄(未成熟)

まさかと思ったが紛れもなくネアカヨシヤンマ。体色が明確なのでこの状態で水辺に残っているのは不自然に思え、よく見ると残念ながら羽化不全。翅と胸部に訳アリ。飛べないんだ...これも仕方がない自然の摂理。羽化からの経過は分からないが近くに羽化殻が見当たらない。ここで羽化した証拠となる羽化殻の発見に努めると、個体のかなり下の草中に発見。回収。ここで羽化した個体と判明。ナイス!

ネアカヨシヤンマの羽化殻

シーズンには沿岸部で黄昏飛翔と稀に産卵行動を確認していたので、タイミングと運次第で、そのうちに羽化殻の発見、あわよくば羽化の観察が叶うかもしれないと思っていた。しかし、ここは沿岸部からは遠く離れた水辺。まだ成虫の確認もしていない予想外の場所での発見となった。でもここはネアカヨシヤンマの生息環境にマッチしていると思っていた場所でもあり、この先に可能性がある事をこの個体が教えてくれた。こうした発見はいつ訪れるかわからない。でも、フィールドワークを欠かさずに楽しむ事が新たな発見に繋がるという結果になった。東京都でのネアカヨシヤンマの発生確認は嬉しくも自己初記録。飛翔性に優れたトンボは本能で自らに合った環境を探し求めて産卵する。そこで上手く世代交代ができるかできないかは一か八かの賭け。自然池や学校のプールサイドにも産卵するギンヤンマや、水溜まりや田んぼにも産卵するシオカラトンボは順応性に優れているので数多く見られるが、ネアカヨシヤンマはそれらとは違い、水があったり無かったりする不安定で特異な湿地環境を好む様子にもあるので、どうしても希少種の類いになってしまう。でもそれぞれが一生懸命に命を繋いでいるんだ。この日は朝のヒヌマイトトンボと最後の最後にもう二度と無いかもしれない、東京都でのネアカヨシヤンマの奇跡的な発生確認が叶い、iPhoneのバッテリーがギリギリもったSさんと、嬉しくも楽しくも素晴らしいトンボ観察を堪能できた。

全てNikon D810+AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

撮影日:5月24日

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